幼いころからダンスを習っていた。その時から「衣装=自分を表現するもの」だった。いつしかダンスよりも服で表現することの方が楽しくなり、服飾系の高校へ。パタンナーになるために専門学校に進学した。「最初は販売職からという企業が多い中、オンワードではパタンナーはモノづくりに関わる専門職だから、早くからキャリア形成していくという考え方を聞き、1年目から、目指してきたパタンナーの仕事が約束されているのは、とても幸せなことだと思いました。」
入社後は、1着の洋服を作りあげるために、これほど多くの人が関わるのかと驚いた。「量産という流れは学生の時に授業で習い知識として知っていましたが、多くの人が関わり、時間をかけて丁寧につくられていく工程にブランドの重みを感じました。」
「ブランドの服を作るということは、自分が欲しいと思うモノをつくるだけではいけないんだというのを強く感じました。もちろん、自分の感性も大事ですが、お客様には、それだけでは伝わりきらないと思いました。そのブランドのカラーを守り、お客様が求めているものをいかに掴むかが大切になります。決して自己満足ではない服作りをしていきます。」
入社から3年目で担当ブランドが変わった。このことが自分を大きく成長させてくれた。最初に担当したブランドとは、年齢層も価格帯も違う。作る服のボディラインも変わってくる。デザイナーが求めるシルエットや好みも変わる。ブランドの体型の特徴を捉えるのが難しかった。
「ブランドのカラーを早くつかむために、とにかく店舗に足を運びました。実際のお客様の顔、ファッションスタイリストがどのようにして売っているかというのを見ながら、この人たちのために服を作っているんだという意識を高めていきました。」
仕事でやりがいを感じる場面は沢山ある。例えば、自信を持って見せれるトワルが仕上がった時。デザイナーから信頼されて任せると言われた時。数えるときりがないぐらい。その中でも、1番嬉しいと感じるのは、自分がパターンを引いた商品の売れ行きが好調な時だ。「欠品が出た、もっと生産すればよかったと聞くと、お客様の期待に応える商品ができたかなと嬉しい気持ちになります。」いつでも、その服を手に取るお客様の評価を気にする仕事をしていきたい。
「私は、基本サイズとなるマスターパターンを作っていますが、量産のことを想定することも大切な仕事です。」量産前にはブランドとして仕様を統一させるため、寸法感など細かな点検が入る。その後、工場に送るパターンと仕様書を確認し、グレーダーに引き継ぎサイズ展開をする。
「生地の大きさや、ポケットの位置などがサイズ展開された時も問題が出ないように考えます。もちろん、コスト面にも配慮がいります。少しずつですが服を作るということを広い視野で考えられるようになってきました。」
2つのブランドを担当し、より多くの経験を積みたいと感じている。ブランドとしてお客様に喜んでもらえるシルエットを常に考えながら技術を磨いていきたい。
「入社当初から、パターン設計に悩んだ時、先輩が色々な選択肢を与えてくれました。そのおかげで、良い服作りの考え方や技術が身についていきました。自分が教えてもらったように、後輩に多くの選択肢を伝えられるようになりたいです。」
所属部署は取材当時