ファッションの道に進もうと考えたのは中学生の時。専門学校時代には、すでに大手総合アパレルを目指すことを決めていた。「大きな会社でなければ学べないことがあると考えました。さらに、自分自身もオンワードのブランドの顧客で、たくさんの人が安心して買える商品に携われると思いました」。入社後担当したのは、ミセスブランド。専門学校で学んだことが生かせるか心配していたが、素材知識などはすぐに生かせると分かった。むしろ戸惑ったのは、仕事そのものの進め方だった。
「学生時代は、それこそひとつの作品づくりに没頭していれば良かった。でも、会社では多くの企画が同時進行しています。いつまでに何をやらないといけないか。それがいくつもある。慣れるまでは、そのスケジュールをこなすのが大変でした」。たとえ新人でも、一人ひとりの役割は非常に重要だ。「仕事はチームで進めています。私がつまずいたりミスしたりすると、商品の納期に影響してしまう」。一年目はアシスタントとして業務に対応するのが精一杯だった。しかし、徐々にボタン、裏地の選定に始まり、生地の選定へ。そしてデザインへと、任される業務の範囲が広がっていった。