就職先は特にアパレル志望だったわけではない。だが、面接でしっかり自分を見てくれた。そんな印象を強く受けた。入社後は、大手流通と共同で商品を開発、卸売りの事業に配属。企画スタッフと大手流通の本社を訪れ、バイヤーと話し合いを重ねる日々を送った。交渉は厳しかったが、事業の醍醐味も感じた。
「オンワードでは、ひとつの課が経営単位。課長は課の経営者なんです。早く経営に携わってみたいと思いました」。入社4年目、新しくスタートした百貨店ブランドを担当する営業部門に異動。百貨店内のショップの営業に。
「どうやって、スタッフをまとめあげて目標に向けて引っ張っていくか。貴重な経験でした」。チームワークを作るのも、リーダーシップを発揮するのも簡単なことではないと知った。一人ひとりの心の中に入る必要がある。強い情熱を持って言葉を発し、行動した。
「うれしかったのは、営業を離れるとき、あるショップスタッフ全員が別れを惜しんで涙を見せてくれたこと。頑張ってきてよかったと思いました」。海外勤務は、海外勤務社内公募制度がきっかけだった。海外に憧れもあった。「国内で経営的な仕事に携われる課長になるまでには、まだずいぶん時間がかかる。海外に行けば、日本人が少ないからもっと早く経営に携われるんじゃないか、と」。