出身は兵庫県。はじめは地元関西の小さなアパレル会社に勤めた。せっかくファッション業界に関わるなら、東京で経験を積んでみたいと上京した。オンワードの印象は全国の百貨店に多くのブランドを出し全国展開をしている、まさに大手というイメージだった。入社した決め手は「人」。一人ひとりが魅力的な人財が揃っている。
パタンナーは専門職で職人気質が多い。いいアイデアや発見があった際に、自己完結してしまいがちだ。オンワードでは、会社が持っている技術や、一人ひとりのパタンナーが見つけたものを広く人に教えるという土壌が出来上がっていたことに驚いた。「聞いたらいくらでも教えてもらえる。ブランドの枠を超えて持っている知識を惜しみなく教えてくれる。他の会社にはない大きな魅力でしたね。この土壌があるからこそ、ファッションビジネスをリードし続けられるのだと思いました。」
パタンナーとしての喜びは、日々感じることができる。「デザイナーの意図がくみ取れて、すっと出したパターンに「やっぱりいいね」と答えて頂いた時、自分が作った商品が売れている時。デザイナーと一緒に作り上げたものが多くの方に受け入れられているというのは、嬉しいですね。」
５〜６カ月かけて１つの商品をリリースしていく。チーフとして、ブランド製品全体の品質を、責任を持ってみている「商品が出来上がって世にでるまでには、デザイナー、パタンナー、生産管理がいます。さらにその先に工場があって、売り場があります。最後商品がお客様の手元に届くまで。すべてを見据えてスケジュールを組みます。」
これで終わりではない。お客様の手元に商品が届くとお客様からの声が届く。「戻ってきた声を次の商材にどう生かすか？パタンナーがお客様の声を一番反映できると思っています。チームで話し合いを行い次回の商品へ反映していきます。」
すっと世にでていく服もあれば、生みの苦しみで難産の服もあるが、どの商品も愛着がある。生産に苦労した服は、ずっと心に残るし次に反映することができる。「パタンナーとは、 毎日なにかに対して、こうじゃないかな、ああじゃないかな？と答えを探し続け、ちゃんと答えとして合っているか検証する仕事。ずっと何かに向かって挑戦し続ける。それって嬉しいことですよね。」
「個々ではなく、常にチームだと考えています。」それは、教育制度の中にも組み込まれている。教育制度として、５〜６年のキャリアを持つスタッフが入社１年目のスタッフとペアになり、同じ仕事を一緒に行う。後輩と先輩で起こった問題に対して解決策を考える。後輩は知識や技術を覚えることができるし、先輩は人を育てるという体験を通して大きく成長する。
「私自身が、実際に後輩に教える立場になった時、問題にぶつかり、何度も失敗を繰り返しました。先輩としてうまく答えを出せずにどうしようと思っていましたが、試行錯誤のすえ、なんとか答えを出したことがありました。その時の後輩のへこたれない姿に勇気をもらいました。お互いに成長できる教育制度です。」
チームへの声掛けで積極的に行っているのは、「できないと思わない事。」できないと思ったら、できる発想が浮かんでこない。まず、マイナスの思考からは入らないようにしている。 マイナス思考では、ゼロに戻るのも大変だ。プラス思考であれば一歩先から考えられる。必ず前向きな気持ちで物事に取り組む意識をしている。「そんなことない。大丈夫、大丈夫！と声を掛けるようにしています。もしも、困った時、皆で考えて解決策を見出すことができます。何でも相談してください。一緒に成長しようという人ばかりなので、安心して来てください！ 」
所属部署は取材当時
